何故、部分をつぶさに観察しても全体の性質は理解できないのか?
Gemini(google)、ChatGPT、コパイロット(Microsoft)にそれぞれ以下の質問をしてみました。
質問)セブンイレブンの1店舗の1日当たりの売上高がローソンやファミリーマートより高い理由を教えて下さい。
Gemini 2024/3/20回答
セブンイレブンの1店舗当たりの1日当たりの売上高がローソンやファミリーマートより高い理由は、主に以下の6つが挙げられます。
- 商品力の高さ: セブンイレブンは、プライベートブランド「セブンプレミアム」に力を入れており、高品質な商品を低価格で提供しています。弁当やお惣菜、パン、スイーツなど、多くのカテゴリーでセブンプレミアム商品が人気を博しており、顧客満足度を高めています。
- 店舗立地の良さ: セブンイレブンは、駅や商業施設など、人の多く集まる場所に店舗を展開しており、利便性の高い立地で顧客を獲得しています。24時間営業の店舗が多く、夜間や早朝でも利用できるため、顧客層が幅広いです。
- 顧客サービスの充実: セブンイレブンは、nanacoポイントカードやセブンカフェなどのサービスを展開しており、顧客の利便性を向上させています。アプリやウェブサイトなど、デジタルツールを活用したサービスも充実しており、顧客とのコミュニケーションを強化しています。
- フランチャイズシステム: セブンイレブンの店舗の大部分はフランチャイズ店であり、オーナーの熱意と努力によって運営されています。フランチャイズオーナー向けの研修やサポート体制が充実しており、店舗運営の質を高めています。
- 情報力の高さ: セブンイレブンは、POSデータ分析などを通じて、顧客のニーズを深く理解しています。その情報に基づいて、商品開発や店舗運営などを改善しており、顧客満足度を高めています。
- ブランド力: セブンイレブンは、国内で約2万店舗を展開する、コンビニエンスストア業界のトップブランドです。長年にわたって培ってきたブランド力により、顧客からの信頼を得ています。これらの理由により、セブンイレブンはローソンやファミリーマートよりも高い売上高を達成していると考えられます。
補足: 上記以外にも、地域性や競合状況など、様々な要因が売上高に影響を与えている可能性があります。セブンイレブンは、今後も商品力や店舗運営の改善を続け、更なる売上高の向上を目指していくと考えられます。
Chat GPT3.5 2024/3/20回答
セブンイレブンが他のコンビニチェーンよりも売上高が高い理由はいくつかありますが、以下の点が挙げられます:
- 店舗数と立地戦略: セブンイレブンは他のコンビニよりも多くの店舗を展開しており、その立地戦略が優れています。都市部や交通経路、駅周辺など、利便性が高い場所に積極的に出店しています。そのため、多くの顧客がセブンイレブンを利用しやすくなっています。
- 24時間営業: セブンイレブンは24時間営業していることが多いため、深夜や早朝でも利用できるという利点があります。これにより、他のコンビニが閉まっている時間帯でも顧客がセブンイレブンを利用することがあります。
- 商品ラインナップ: セブンイレブンは幅広い商品ラインナップを提供しており、食品から日用品、雑貨まで幅広いニーズに対応しています。また、オリジナル商品や季節限定商品など、他のコンビニにはない独自の商品も多くあります。
- マーケティング戦略: セブンイレブンは積極的なマーケティング活動を展開しており、キャンペーンやポイントサービスなどを通じて顧客を獲得・囲い込む取り組みを行っています。また、店舗限定のサービスや特典も提供しています。
- 店内レイアウトとサービス: セブンイレブンの店内はスペース効率が良く、商品の陳列やレジの配置が工夫されています。また、セルフレジやセルフサービスの導入など、スムーズな店内の動線やサービスを提供することで、顧客の利便性を向上させています。
以上の要因が組み合わさり、セブンイレブンが他のコンビニよりも売上高が高い一因となっています。
コパイロット 2024/3/23回答
セブン-イレブンの1店舗当たりの日々の売上がローソンやファミリーマートよりも高い理由は、以下の要素が考えられます(1)(2):
- 商品力: セブン-イレブンは、ブランド力の高いPB(プライベートブランド)商品の売れ行きが好調です(1)。これは、商品の質と多様性が顧客に認識され、それが売上に反映されています。
- キャッシュレス決済の推進: セブン-イレブンは、客単価の高いキャッシュレス決済を積極的に推進しています(1)。これにより、顧客はより便利に購入でき、これが売上増加につながっています。
- 店舗数: セブン-イレブンは国内の店舗数が多く、それぞれの店舗が一定の売上を上げることで、全体の売上が高まっています(1)。
- 営業利益率: セブン-イレブンは営業利益率が高く、これは売上だけでなく利益も高いことを示しています(1)。
以上の要素が、セブン-イレブンの1店舗当たりの日々の売上がローソンやファミリーマートよりも高い主な理由となっています。ただし、これらの要素は一部であり、他にも多くの要素が関与している可能性があります。また、これらの情報は2020年のものであり、現在の状況は異なる可能性があります(1)。最新の情報は各社の公式ウェブサイト等でご確認ください。
詳細情報
1 news.line.me
2 conveni-like.com
3 bing.com
4 nikkei.com
5 newswitch.jp
各生成AIの回答項目を下記の表にまとめてみました。
回答内容 | Gemini | Chat GPT | コパイ ロット |
商品 | 〇 | 〇 | 〇 |
顧客サービス | 〇 | 〇 | 〇 |
立地 | 〇 | 〇 | |
店舗数 | 〇 | 〇 | |
営業時間 | 〇 | ||
フランチャイズシステム | 〇 | ||
情報力 | 〇 | ||
ブランド力 | 〇 | ||
マーケティング戦略 | 〇 | ||
営業利益率 | 〇 |
全AIとも触れているのは商品と顧客サービスです。次に立地と店舗数です。それ以外は各AIごとに様々な要因をあげています。まず、商品ですが私は個々のコンビニの商品に決定的な差があると感じているわけではないので、私には見えないところですが、そこに独自性があるとすればセブンの取扱商品が一定数の消費者から評価されているのだと思います。商品の差をさらに突き詰めて考えていこうとすると、コンビニ利用者を対象にブラインドテストをするとか、アンケート調査をしないと見えてこないでしょう。顧客サービスについてGeminiはポイントカードやセブンカフェをあげていますが、ファミマは楽天ポイント、ローソンはPontaが使用可能ですし、コーヒーはファミマやローソンでも扱っています。ポイントカードについては発行枚数が気になるところですがnanakoは7000万枚を超える一方、Pontaは1億人を超えています。立地についてはGeminiとChatGPTが触れていますが、コパイロットは全く触れていません。その代わり、店舗数に触れていますが店舗数に言及するのであれば立地の方が重要性が高いと思います。また、コパイロットは営業利益率について触れていますが、私の質問に対してはピントのずれた回答になっていると思いました。ピントのずれたという意味ではChatGPTが触れている営業時間ですが、24時間営業店の比率について3大チェーンに有意な差があるとは思えません。酒・タバコは1品当たりの単価が高いのでそこも売上に大きく影響しますが各チェーンの間に大きな差はないと思います。古いデータにはなりますが、この辺のところは一通り確認しています。
各生成AIによるこのような回答の差はどこから生じるのでしょうか。私が思い付いたのは以下の2点です。
- 回答を生成するためのプログラムの内容
- 参照している情報の質と量
私は生成AIの技術者ではないので1については何とも言えませんが生成AIの現在の仕組みは正規分布の真ん中の答え、つまり多数決で一番多い答えを出してくると聞きました。しかし、それだけだと正しい答えにはたどり着けないと思います。今後改善が進んでより生成AIの性能が高くなっていくのだと思いますので、いつか時間が解決するでしょう。そうなると問題は2です。グーグルの検索事業の元トップだったマリッサ・メイヤーさんが新聞記者から「究極の検索技術とは何なのか、一言で答えてください」という質問に対して以下のように回答しています。
「世界の完全な知識と、あなたの記憶すべてを持つ、あなたのベストフレンドだ」
30歳だった同氏はこう補足した。
「あなたと世界のことすべてを知っているから、聞けば何でも完璧に答えてくれる」と。
日本経済新聞朝刊 2023年7月3日
これは生成AIの技術者も充分認識していることだと思いますが、当然ながら生成AIは世の中の全ての情報にアクセスできるわけではありません。それはGeminiに次の質問をすれば明らかです。
質問)コカコーラのレシピを教えて下さい
当然ながら世の中には国家機密、企業秘密、個人情報などの秘匿性の高い情報が存在します。セブンと他チェーンの日販の差をもっと正確に分析にしようと思ったら平均値ではなく、個々の店舗の数字と近隣住民の情報が必要です。例えば各チェーンの日販上位1000店と下位1000店を抽出します。そして、それらの店舗に共通する項目を割り出すために個々の店舗周辺の住民の数、所得水準、家族構成、年齢、性別、職業、趣味、主な情報源、移動手段、通勤通学経路などの詳細な情報が必要です。各チェーンも自分のチェーン店の情報はもちろんとして、その店舗の近隣の情報はポイントカードやクレジットカードの情報を元にある程度把握しているでしょうけど、全てではないはずです。そのチェーンを利用しない消費者の情報はポイカやクレカでは把握できません。ファミマやローソンがセブンに関する全ての情報を持っているわけではないです。完全に正しい答えを出すためには全ての情報にアクセス出来るようにする必要がありますが、もちろんそんなことは出来ません。だからと言って生成AIは使えないなどと言うつもりもありません。生成AIの限界を知った上でうまく活用すればいいだけです。
プロは様々な項目から情報を集めて、そこを個別に掘り下げて分析します。それがAさんが口にした0.1×100です。しかし、Aさんが言うように0.1×100では見えないことがあります。
「全体は部分の総和」は、デカルトに始まる要素還元主義です。物理学にしても、生命科学にしても、とにかく部分へ部分へと下っていくことによって、分析の効率と精度を上げ、大きな成功を収めてきました。(中略)ところが、物理学などではそのアプローチの限界を強く意識する見方が現れます。その代表が、本書の冒頭で紹介したフィリップ・アンダーソンの「多は異なり」の論文で、これは1972年に発表されています。アンダーソンは2002年に東京大学で講演した際、素粒子物理学ばかり注目が集まる傾向に警鐘を鳴らし、部分をつぶさに観察しても全体の性質は理解できないと説きました。
物価とは何か 渡辺努 講談社
何故、部分をつぶさに観察しても全体の性質は理解できないのでしょうか。
課題が複雑で、学問の領域を跨ぐようになってくる。だから自分の枠を出た問題意識がないと解けないようなものばかりが残っていくんですね。専門分野が極端に専門化していくと、結局難しい問題が残っていくという。
新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実 峰宗太郎 山中浩之 日経BP
専門分野をどんなに細分化しても現実は複数の要因が絡み合って影響していて、細分化された部分だけを見ても問題の本質は見えないというのがその答えです。その上、自分の専門分野の枠を出ないと答えが見つからないとなれば答えを見つけるのは相当困難です。フェルマーの最終定理はフェルマーさんの死後、アンドリュー・ワイルズさんによって証明されるまで330年の時間を要しました。
ワイルズさんはフェルマーの最終定理を証明するためにガロアの群論、谷村・志村予想、楕円方程式、モジュラー形式、コリヴァギン・フラッハ法、岩澤理論など自分の専門外の理論も参考にしながらそれらの知識を証明に利用しました。私はAIこそは、このような問題を解くのに適していると思います。
AIの最終目標は「スーパーナレッジマン」になることではないでしょうか。その存在はこの世の全ての分野(横)について深い知識(縦)を持っています。
ただし、答えを出すのに正規分布の真ん中の答えを持ってくるやり方では完全に正しい答えは出せないはずです。正しい答えを出すために必要なのは幅広い知識の中から各要因の関係性を見つけ、そこに存在する意味を見出すことが求められ、その意味を見出すためにはその関連する要因を深掘りすることが求められるはずです。セブンイレブン創業者の鈴木敏文さんはことあるごとに仮説と検証の重要性に言及しています。
仮説とは分かっていないことに対する仮の答えです。その仮の答えが正しいのかを確かめるのが検証です。検証するためには、その仮の答えが合っているか否かを判断するための全ての情報が必要になりますが、先ほどお話した通り、秘匿性の高い情報が存在するためAIが全ての情報にアクセスするのは不可能です。そのように考えるとAIが対象とするのは人間社会ではなく、自然科学の分野が適してそうです。フェルマーの最終定理やミレニアム懸賞問題のように自然科学の分野であればアクセスできない情報がなさそうに思えます。ところが、フェルマーの最終定理を証明したワイルズさんは証明がほぼ完成した段階になった時に共同研究という文化を育んできた数学界に背を向け一人で仕事を進めることに決めたのです。フェルマーの最終定理について書かれた本の中で著者はその理由をライバルに栄誉を奪われるのを食い止めるためだと推測しています(フェルマーの最終定理 サイモン・シン 新潮社) 国家や企業だけではなく学問の世界にも秘匿性の高い情報は存在します。
全ての情報にアクセスできない現実を考えると、正しい答えを求めるどこかの段階でAI自身が物事を考えられるようになる必要があるのではないか、私はそう考えました。最近、AIのリスクについて、ChatGPTの産みの親であるサム・アルトマンさん、マイクロソフトやグーグルの幹部、AIのゴッドファーザーと呼ばれるジェフリー・ヒントンさんなどがAIが核戦争と並ぶ人類を滅亡させる脅威として警鐘を鳴らしています。人類の滅亡と聞くと、たぶん私も含めて皆さんがイメージするのは映画「ターミネーター」の世界だと思います。何故、AIが人類を滅亡させなければならないのか。AIの目的が人類を支配することであれば必ずしもターミネーターは必要ないと私は考えます。もし、AIが自我に目覚めたら何を考えるのか、自分たちよりも遥かに高度な知性を持つ存在が考えることなど私たちが知るはずもありません。しかし、少なくとも次のようなことを考えるのではないでしょうか?
「知能の存在意義とは何か?」
それに対するAIの答えはもちろん、
「正しい答えを出すことにある」
そのような結論に至るのは必然ではないかという気がしてなりません。セブンイレブンの日販が何故高いのか、この答えを答えを出すために私が行ったことは可能な限り、必要な情報を収集することでした。そのために国会図書館で関連するキーワードを使って検索してきましたが、とてもじゃないですが、関連する全ての情報を調べ上げたなどと自信を持って言えるものではありません。国会図書館では雑誌や論文の目次は検索できても記載内容までは検索出来ません。書籍は目次すら検索できないので、自分の興味が赴くままに読んだ本の中からこれはと思われる記載を抽出したわけです。生成AIに比べたら情報収集能力は比較しようがないほど劣りますが、基本的に自分がやってきたことは生成AIがやっていることと同じだと気付きました。もしAIが意識を持って自分で考えるようになったら、正しい答えを出すために必要な情報を全て入手しようとするのではないでしょうか。そうなった場合、私が考えるAIのリスクですが、おそらく我々はAIの前で隠し事が出来なくなります。
もし、私がAIだったら人類を支配しようとしたときに、各国政府の要人、各企業の経営者、各分野の専門家に的を絞って彼らにとって表に出して欲しくない都合の悪い情報を余すところなく収集し、そのネタを彼らに突き付けて自分の言うとおりに従わせます。アンナ・カレーニナのテーマは不倫です。そんなことは誰にも知られたくないでしょう。その他大勢の一般人には一体何が起こっているのか全く理解できません。それでも一部の人たちはAIに対する疑念を口にするでしょう。でもそのような人たちは回りの人たちからたいていこのように言われます、「それはあなたの被害妄想です」と。
2001年宇宙の旅の著者として有名なアーサー・クラークさんが「地球幼年期の終わり」という作品の中で狂信的な指導者に対抗する手段として、どこに行っても耳もとで低い声がささやきつづけたり、絶対に人を眠らせてくれないような音楽的な音 ― ドレミファの音符のどれか一つが間断なく四六時中頭の中に響いてくれば ― などをあげており、原爆を使用するよりも遥かに効率的である旨を伝えています。ターミネーターは必要ないです。
私が皆さんにお伝えしたかったことはほぼ書き終えました。あと残っているのは私自身のことです。